LTEがもたらすケータイの大進化
今から5億4000万年ほど前のカンブリア紀。現在の動物の基となる動物が短期間で一気に出そろうという現象が起こったとされる。「カンブリア爆発」(cambrian explosion)と呼ばれるこの生命の大進化と同様の変化が,間もなくケータイに訪れようとしている。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20090325/167728/
「手のひらに載る大きさで,液晶ディスプレイやテンキーを備える」「基本機能は音声通話である」「携帯電話事業者の方針に従って製品を開発する」「データ通信には速度が不十分」─。携帯電話には,誰もがこんなイメージを思い浮かべるだろう。それはいろいろな制限のために,これまでのケータイにはごく限られた「種」しか存在できなかったことを示す。
ケータイを縛る制限を解き放ち,種を一気に増やす圧力となるのが,「LTE」(long term evlolution)に代表される,「第3.9世代」(3.9G)の移動体通信方式である。安くて速いデータ通信を実現する3.9Gへの移行は,携帯電話業界のビジネスモデルの変革と相まって,ユーザーや機器メーカーが持っていたケータイに対する固定観念を打ち破る。これまで想像もしなかったような機器が次々登場する可能性を秘める。携帯電話機という枠から外れた,新しい「ケータイ」が生まれる。
Q. LTEになると何が変わるのか?
A. 最大100Mビット/ 秒超を実現
LTEは,第3世代携帯電話(3G)の方式を策定する3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化が進められている方式です。これまでにほぼ仕様が固まっており,2008年12月に開催される3GPPの会合で最終仕様が決まる見込みです。
3GPPは3Gの最初の方式「W-CDMA」を決めた後,下りのデータ伝送速度を高める「HSDPA」,下りはHSDPAと同じで上りのデータ伝送速度を高める「HSPA」(HSDPAとHSUPAの総称)などを策定し,3Gを拡張してきました。LTEは,そのHSPAで実現していたデータ伝送速度を20倍強に高め,理論上,下りで最大326Mビット/秒,上りで86Mビット/秒のデータ伝送速度を達成します。また,遅延時間を1ケタ短縮します。これまで数秒かかっていた接続を確立するまでの時間を100ms以下,数十msかかっていた無線区間内での通信パケットの伝送にかかる時間を5ms以下にします。
Q. LTEは3G? それとも4G?
A. 3Gだが一部4Gを先取り
LTEは3Gの方式といえます。そもそも3Gとは,国際電気通信連合(ITU)が定めた3G規格「IMT-2000」で認められた数々の方式を指します。W-CDMAや「CDMA2000」,それらの拡張版はいずれも認められていますし,「モバイルWiMAX」も2007年10月に認められました。LTEもIMT-2000で認められる見通しです。これは,IMT-2000用として国際的に定めた周波数帯を利用できることを意味します。その一方で,LTEはW-CDMAなどに対する後方互換性は持ちません。3GPPは今後,ITUが定める4G規格「IMT-Advanced」に,LTEに対する後方互換性を持った方式を提案する予定であり,技術的には4Gを先取りしています。技術的には4Gなのに周波数帯は3G。「3.9G」と呼ばれることが多いのはこのためです。
Q. LTEとWiMAXは何が違うの?
A. WiMAXは伝送効率を重視
モバイルWiMAXは,IEEE802委員会において「IEEE802.16e」として標準化された技術を基にした方式です。無線LANよりも広い範囲をカバーでき,既存の3Gの方式よりも高速に通信できるようにすることを目指して開発されました。開発を主導したIntel社や携帯電話機メーカー,通信事業者などで組織するWiMAX Forumが普及推進を行っています。一方のLTEは,通信事業者や機器メーカーなどが参加する3GPPで標準化した方式で,通信事業者で組織するNGMN Allianceが普及推進を行っています。どちらも似た技術を使いますが,携帯電話サービスでの利用に向けたLTEは音声通話品質が低下しないような工夫を施していますが,データ通信が主用途のモバイルWiMAXはデータ伝送効率を高めることを重視しています。なお,「(固定)WiMAX」とモバイルWiMAXは異なります。移動中の通信を想定していないWiMAXは,「IEEE802.16-2004」規格を基にしています。
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