モバイルの将来が見えた! 「Eee PC 901-X」購入徹底レポート【前編】
話題の低価格ミニノートPC「Eee PC 901-X」を店頭価格1万4980円で購入してきた。“本来の店頭価格は5万9800円前後、あまりに安すぎない?”という話だが、大手量販店などではノートPC購入時に、モバイルデータ通信サービス「イー・モバイル」の指定プランを契約することで、店頭価格を値引きするキャンペーンを行っている。これを利用することで、1万4980円という低価格で購入できたわけだ。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20080909/1018543/?P=1
Eee PC 901は2008年7月の発売から長く品薄だったが、8月末からは店頭在庫も潤沢になってきた。購入を検討するには今がいい時期といえよう。
ASUSのミニノートPC「Eee PC 901-X」とイー・モバイルのUSBデータ通信モデム「D02HW」。現在、量販店のミニノートPCのコーナーでAcerの「Aspire one」などと共に店頭を賑わせている(画像クリックで拡大)
Eee PC 901の魅力は低価格ながら、1.1kgの軽量ボディに最大8.3時間と長時間駆動のバッテリー、小容量ながらHDDより衝撃に強いSSDを搭載するなど、モバイル向けサブマシンとして理想的な製品コンセプトを実現した点にある。PCとしての性能に関しても、 液晶やキーボードはコンパクトなものの、Pentium MやCeleron Mの1GHz級の処理性能を実現。OSにはWindows XP Home Editionを採用しており、Webやメール、オフィス文書の編集を軽快にこなせる十分過ぎるスペックを持っているのだ。
そういうわけで、普段はケータイやモバイルの記事を書いている筆者も、実際にEee PC 901を購入してきた。この記事では、Eee PC 901をイーモバイルとのセットで購入する際のプラン選択から、その魅力や性能について解説する。
イー・モバイルとのセット販売は本当にお得なのか?
店頭価格1万4980円の「Eee PC 901-X」とイー・モバイル用USBデータ通信モデム「D02HW」、イー・モバイル契約をセットにした購入プラン、これは本当にお得なのだろうか。
先にイー・モバイルについて軽く解説しておこう。イー・モバイルは2007年3月に開始された、PC向けを中心とした最大7.2Mbpsの定額モバイルデータ通信を提供する事業者だ。全国主要都市を中心にエリアを広げており、PCでの定額データ通信ながら、比較的高速かつ通信制限の少ないサービスとして人気を博している。Eee PC 901を使って外出先でのモバイルインターネットを利用する場合、セット購入を抜きにしても、多くの人がPCでの定額データ通信契約を検討するであろう事業者だ。
goo スピードテストで通信速度を計測。写真では約780kbpsという結果が出た。場所や混雑状況によって通信速度は大きく異なるが、筆者がこれまで都内でテストしてきた中では平均に近い値だ(画像クリックで拡大)
この「Eee PC 901-X」とイー・モバイル用USBデータ通信モデム「D02HW」のセットだが、店頭での購入価格が1万4980円になる代わりに、料金プランは2年契約を前提とした「スーパーライトデータプラン(にねんMAX)」しか選択できない。これは、イー・モバイルだけを単独で契約した場合に選択できる「スーパーライトデータプラン(新にねん)」よりも、月々1900円高額なプランだ。また、このプランでの契約にはクレジットカードが必要なほか、2年以内の解約は残り月数×2900円の支払いが必要という制限もある。
つまり、「Eee PC 901-X」とUSBデータ通信モデム「D02HW」のセットを店頭価格1万4980円で購入するというのは、携帯電話の割賦購入のように、通常の料金プランに1900円分を上乗せしての24ヶ月払い、合計4万5600円を割賦で支払うことにほかならない。
とはいえ、「Eee PC 901-X」の店頭価格が5万9800円、「D02HW」が9980円なので、このセット購入を行うと総額で9,200円分は安くなる。 Eee PC 901購入と同時にイー・モバイルを契約しようとしている人、イー・モバイルの機種変更を目的とした買い換えを考えている人なら、このセット購入を利用するといいだろう。一方、イー・モバイルを一切利用する予定がないなら、Eee PC 901を単品で購入した方がお得だ。
●Eee PC 901-Xとイーモバイルのセット販売は約9,200円分安い
Eee PC 901-X
購入方法 端末価格 店頭支払額 契約プラン 月額料金 二年間の
総支払総額
Eee PC 901-X&
D02HWの14,980円
セット販売 無料
(D02HW) 14,980円 にねんMAX 2,900~6,880円 84,580~180,100円
Eee PC 901-Xと
D02HWを別途購入 9,980円
(D02HW) 69,780円
※ 新にねん 1,000~4,980円 93,780~189,300円
※Eee PC 901-Xの店頭価格が59,800円の場合
ところで、量販店でノートPC購入時にイー・モバイルを契約すると、3万円分値引きというキャンペーンを見かけた人、知っている人も多いだろう。これは上述のセット購入と異なるキャンペーンなのだが、Eee PC 901に適用することもできるようだ。ある店舗ではこのキャンペーンを使った購入を断られたが、別の店舗ではイー・モバイルをクレジットカードで契約できない場合でも、銀行引き落としで契約できるという事で、こちらの3万円引きキャンペーンも勧められた。
こちらの購入キャンペーンも料金プランの指定があり「スーパーライトデータプラン(にねん)」の契約が必要となる。イー・モバイルだけを単独で契約した場合に選択できる「スーパーライトデータプラン(新にねん)」より、月々1000円高額なプランだ。このキャンペーンと料金プランでEee PC 901を購入した場合の支払額を以下に示す。
●ノートPC3万円引きキャンペーンならもっと安く購入できる?
Eee PC 901-X
購入方法 端末価格 店頭支払額 契約プラン 月額料金 二年間の
総支払総額
イーモバイル契約で
ノートPC3万円引き 無料
(D02HW) 29,800円 にねん 2,000~5,980円 77,800~173,320円
なんと、店頭支払額は上述のEee PC 901とD02HWのセット販売より高いものの、総支払額はさらに6780円分安くなってしまった。ただ、この3万引きキャンペーンは、提供されるUSBデータモデム端末の種類や価格が異なる可能性もある。このキャンペーンで契約するなら、その辺りをしっかり確認しておこう。
SSDと8.3時間バッテリーがノートPCをケータイ化する?
筆者はEee PC 901を購入して一週間ほど使っているのだが、自分自身が驚くほど持ち歩いて利用している。これまでモバイルノートPCというと、外出先で作業せざるをえない時だけ持ち歩いていた。だが、Eee PC 901では日常の散歩や買い物でもショルダーバッグへ放り込んでおき、スターバックスで広げてみたり、自宅でもACアダプター無しで持ち歩き、寝っ転がって利用するなど、これまでのノートPCでは考えられない自由さと気軽さで利用できている。
理由は1.1kgの軽量さや小型さはもちろんのこと、記録媒体にHDDではなくSSDを搭載している点と、最大8.3時間駆動のバッテリー、Eee PC 901自体の低価格さによるところが大きい。HDD搭載のモバイルノートPCと違って、操作中やスタンバイ移行時などデータの記録・読込時に振り回しても大丈夫な安心感や、一回の充電で6~4時間程度なら液晶や無線機能のバッテリー消費をさほど気にせず使える余裕、破損や紛失時の価格面におけるリスクが少ない点は、これまでのモバイルノートPCに無かった特徴だ。
Eee PC 901はWindows XPを搭載したPCでありながらも、重量やサイズを除いた利用時の気軽さは、携帯電話やスマートフォン、携帯ゲーム機とほぼ同等と言っていいだろう。
筆者は普段、ショルダーバッグにEee PC 901を入れて持ち歩いている。1.1kgという軽量さと小型サイズ、ACアダプターを必要としない8.3時間駆動のバッテリーの搭載に加え、HDDと違って衝撃に強いSSDの採用と、紛失や破損リスクの少ないEee PC 901自体の低価格さが、気軽な携帯に適しているためだ(画像クリックで拡大)
Eee PC 901はHDDの代わりに、データをフラッシュメモリに記録するSSDを採用。データ読み書き中の衝撃に弱いHDDと違い、データの読み書き中でも携帯電話やスマートフォンのように持ち歩ける安心感を実現。ただし、ビット単価がHDDより高額なため、容量は4GB(SLC)+8GB(MLC)の合計12GBと小さい(画像クリックで拡大)
バッテリーの持ちについては、詳細レビューだと、高負荷状態で4時間25分と計測されている。筆者が利用する、イー・モバイルでのWebサイト閲覧やメール、テキスト編集ぐらいなら、液晶を特に暗くする事もなく6時間程度は十分利用できた。
イー・モバイル接続中の消費電力はかなり抑えられており、インターネットに接続したままでも気軽に利用できる。ただし、データを送受信している瞬間の消費電力は大きいので注意が必要だ。通常のWebサイトやメール、動画を一度PCのキャッシュに読み込むYouTubeやニコニコ動画ではさほど問題ないのだが、ストリーミング型の動画や音楽配信、BitTorrentなど長時間データを送受信するサービスでは、バッテリーの減りが速くなるので注意した方が良いだろう。ちなみに、バッテリー充電時間は最大3.5時間とノートPCとしてはかなり短い。地味な特徴だが、短時間の充電でも長時間利用できるなど、日常利用での快適さを大きく向上させている。
サイズはB5ファイルサイズのモバイルPCと比べて2/3程度
本体のフットプリントは、B5用紙を縦に2cmほど短くしたサイズ。一般的な雑誌やB5ファイルサイズのモバイルPCや雑誌と比べ、2/3程度だ。高さは22.7~39mmと厚めだが、ビジネスからショルダーまで殆どのバッグに入れて持ち歩ける。
手で持ち運ぶにも収まりが良く、生活の中でノートPCを持ち歩いたり、利用する大げさ感や威圧感も小さく感じられた。
B5ファイルサイズのモバイルノートと同等の一般雑誌と比較。Eee PC 901-Xは約2/3程度のサイズ(画像クリックで拡大)
8.3時間の大容量バッテリーと3ポートあるUSB端子を活かして、iPhoneや携帯電話を専用USBケーブルで充電。もちろんバッテリーは減るが、半分減ったとしても数時間は動作する余裕があるからこそ可能な芸当だ(画像クリックで拡大)
筆者のEee PC 901利用用途だが、前述の通りWebサイト閲覧とメール、テキストエディタでの原稿執筆を中心に行っている。ただ、Eee PCと自宅のメインPCで同じ利用環境を構築するため、様々なデータファイルやメール、PIM情報はWebサービスや自宅PCに置いた物を、ネットワーク越しに利用するスタイルへ移行している。
GoogleのGmailやGoogleカレンダーに例えると解りやすいだろう。これらのサービスを利用すれば、メインPCやEee PCのようなモバイルPC、そのほかスマートフォンや携帯電話でも、端末の違いを問わずに同じ情報を利用できる。マイクロソフトのWindows LiveやAppleのMobileMe、法人向けのExchangeサーバーでも同様の環境を構築できる。メールに関してはIMAPメールを利用するのも良い。
自宅PCへのアクセスは、バッファローのBHR-4RVのような家庭用VPNルータを自宅に設置し、外出先からイー・モバイルの回線などを使って自宅に VPN(PPTP)接続を行えば、外出先からセキュアに自宅PCのフォルダにアクセスしたり、自宅PCをリモートコントロールできる。
最近では、モバイル環境から複雑な設定無しに自宅のネットワークHDDにアクセスできるバッファローのリンクステーションや、家庭用サーバーOSのWindows Home Serverといった選択肢も登場している。より簡単にファイル共有を行うなら、Eee PCに付属している20GBのWebストレージ利用権などのオンラインストレージサービスや、レンタルサーバといったサービスも便利だ。こういった機器やサービスを使えば、モバイル環境をより実用的に利用できるだろう。
イー・モバイルのような、高速かつ定額のPCモバイルデータ通信が一般的になってきた事で、GoogleなどのWebサービスを使ったメール環境やPIM情報の同期、自宅サーバーへのアクセスなどインターネット接続を前提としたサービスが利用しやすくなってきた
Eee PC 901の性能を徹底検証!
ここからは、多くの人がEee PC 901で気になる処理速度について見ていこう。Eee PC 901のCPUであるAtom 1.6GHzは、これまでのCPUと比べてどの程度の処理なのか?バッテリー駆動時は遅くて使い物にならないのではないか?という点について、Crystal Mark2004R3によるベンチマークで計測してみた。
比較として、約5年前のPentium M 1.3GHzを搭載したモバイルPC「Thinkpad X31」でもベンチマークを取っている。OSはWindows XP SP3をインストールした。性能面では、Windows XPを利用するには十分過ぎる性能を有しており、Webサイトの閲覧やメール、文書編集ははもちろん、写真編集から簡単な動画編集まで利用できる。筆者のように、このクラスのモバイルノートPCを未だ現役で利用している人も多いだろう。液晶サイズやキーボードの快適さでEee PC 901と比較するのはやや無茶だが、CPUなどの処理性能に限った比較として見て欲しい。
●ベンチマークテストを行ったPC
Eee PC 901 Thinkpad X31
発売年月 2008年7月 2003年3月
CPU Atom N270(1.6GHz) Pentium M(1.3GHz)
メモリー 1GB 2GB
記録媒体 SSD(4+8GB) HDD(160GB)
重量 1.13kg 1.64kg
駆動時間 8.3時間 5.5時間
Thinkpad X31はメモリーを2GBに増設。HDDは2.5インチPATAでも後期の製品となるHTS541616J9AT00(160GB)に換装している
ベンチマークだが、Eee PC 901とThinkpad X31で、ACアダプター接続時とバッテリー駆動時に分けて行ってみた。
その前に、Eee PC 901の省電力機能「Super Hybrid Engine」について説明しておく。Eee PC 901には動作モードが4つ用意されており、CPUの定格1.6GHzを超えた速度で動作するオーバークロックモード「Super Performance Mode」と、CPUの定格通り最大1.6GHzで動作する「High Performance Mode」、CPUのクロック数を最大1.2GHzに抑えて動作する「Power Saving Mode」、ACアダプター接続中かバッテリー駆動中かに併せてモードを変更する「Auto Mode」がある。
標準では「Auto Mode」に設定されており、ACアダプター接続時は「High Performance Mode」、バッテリー駆動時は「Power Saving Mode」へ自動的に切り替えて動作する。「Super Performance Mode」は、手動でモードを切り替えない限り動作する事はない。なお、同じ名前のモードであれば、ACアダプター接続時でもバッテリー駆動時でも、処理性能が変わる事はない。
●Eee PC 901の「Super Hybrid Engine」動作モード
動作モード 動作クロック Auto Mode時の設定
Super Performance Mode 1680~840MHz
High Performance Mode 1600~800MHz ←ACアダプター接続時
Power Saving Mode 1200~600MHz ←バッテリー駆動時
「Super Hybrid Engine」で用意される動作モード一覧。バッテリー駆動時でもYouTubeやニコニコ動画、動画ファイルの再生を行う場合は「High Performance Mode」以上に固定した方が快適に視聴できる
Eee PC 901の「Super Hybrid Engine」はタスクバーから切り替える。普段はAutoで利用しておけば問題ないだろう
ACアダプター接続時のベンチマークだが、「Auto Mode」で有効になる「High Performance Mode」との比較を行った。下には参考として、「Super Performance Mode」でのベンチマークも掲載しておく。
結論から言うと、なんとEee PC 901がThinkpad X31と同等かやや上のスコアを叩きだしてしまった。昔、高額だったモバイルノートPCと同等の性能が、低価格かつ軽量・長時間駆動のPCで手に入るとなると、技術進化の速さを感じる。
なお、今現在発売されているWinodws VistaをプリンストールしたCore 2 Duo搭載のモバイルPCは、これらのベンチマーク結果より2~3倍程度高い数値を叩き出す。逆に言えば、Windows Vistaをストレス無く利用するには、そのぐらいの性能が必要ということだ。Eee PC 901のプリインストールOSに、無理なく動くWindows XP HOMEを搭載したのは英断といえよう。
Eee PC 901をACアダプター接続時に「High Performance Mode」で計測(画像クリックで拡大)
Thinkpad X31ををACアダプター接続時に「ハイ・システム・パフォーマンス」で計測(画像クリックで拡大)
最大速度となる「Super Performance Mode」でもベンチマークを行った。このモードを利用するには「Super Hybrid Engine」の設定を手動で変更しなければならない。ベンチマーク上では「High Performance Mode」とあまり差はないが、コマ落ちする動画再生がややスムーズになるといった効果は見受けられた(画像クリックで拡大)
バッテリー駆動時でのベンチマーク結果は?
次にバッテリー駆動時でのベンチマークを行った。Eee PC 901は「Auto Mode」で有効となる「Power Saving Mode」、Thinkpad X31はバッテリー省電力ウィザードからCPUの速度を「自動」に設定、グラフィックデバイス省電力はONした状態で比較している。
この結果では、Thinkpad X31の方がややEee PC 901より速い結果となっている。理由は、Thinkpad X31の方が最大処理速度を抑えておらず、上回っていたためだ。ただし、バッテリー駆動時に行うベンチマークはCPUの瞬間的な最大処理性能を測るだけの物であって、バッテリー駆動に重要なCPUが処理を行っていないアイドル状態での省電力性能は考慮していない。
この程度の差であれば、8.3時間のバッテリー駆動を含めたトータルで、Eee PC 901の方が優れているともいえる。もし、Eee PC 901で最大処理性能を高くしたいなら、駆動時間はやや短くなるが、動作モードを「High Performance Mode」に変更すれば良い。
Eee PC 901をバッテリー駆動時に「Power Saving Mode」で計測(画像クリックで拡大)
Thinkpad X31をバッテリー駆動時にCPU速度を「自動」、グラフィックデバイス省電力「ON」にて計測(画像クリックで拡大)
ついでに、このテストで測定したEee PC 901のSSDと、Thinkpad X31のHDDの速度を比較した表も掲載しておく。Eee PC 901のSSDもThinkpad X31のHDDも、最新の製品と比べれば見劣りする性能だが、SSDとHDDの違いによる傾向は読み取れるだろう。
SSDが圧倒的に優位なのは、512KBや64KBなどの細かいサイズのランダムリードだ。実際、Windows自体や、数多くのライブラリやプラグインファイルを読み込むようなアプリケーションの起動において、Eee PCは最新HDDを搭載したデスクトップマシンをしのぐ体感速度を見せてくれた。
一方、Eee PCのSSDはファイルの書き込み速度がかなり遅い。最新のSSDではHDDと遜色無い、もしくはそれ以上の速度を実現しているものの、Eee PCを使う分にはこの点に留意した方が良いだろう。一般的なPCの利用では書き込みを頻繁に行う事は少なく、書き込みの遅さを気にする事は少ない。だが、ブラウザーのキャッシュなど、細かいファイルの読み書きを多く一部動作では遅さを感じてしまう。Eee PCの環境構築において、ブラウザーのキャッシュフォルダをRAMディスク化したメインメモリに置く方法が良く紹介されるのは、SSDの容量節約だけでなく、SSDの苦手な細かいファイルの書き込みを回避し、ブラウザーを高速化するためでもある。
●SSDとHDDの特性を比較
Eee PC 901
(SSD:4GB) Thinkapd X31
(HDD:160GB)
Read 31.62 MB/s 39.84 MB/s
Write 10.87 MB/s 31.02 MB/s
RandomRead512K 31.24 MB/s 21.34 MB/s
RandomWrite512K 5.69 MB/s 17.14 MB/s
RandomRead 64K 26.45 MB/s 4.89 MB/s
RandomWrite 64K 0.74 MB/s 7.07 MB/s
Eee PCのSSD(Cドライブ 4GB)とThinkpad X31のHDD(160GB)の速度をCrystal Mark2004R3の結果から比較
Eee PC 901を買うならどんな用途が最適?
ここまでEee PC 901の利点を多く紹介してきたが、そうはいってもEee PC 901はなんでもこなせるモバイルPCではない。現在発売されている1kg前後の低価格ミニノートPC、B5ファイルサイズのモバイルノートPCと比べた場合、Eee PC 901はどういった層に向いたPCなのだろうか。
●1kg前後のノートPCでも、仕様により用途は大きく異なる
Eee PC 901-X 低価格ミニノートPC モバイルノートPC
高度な映像・3D処理 △ △ ◎
大容量データの持ち運び △ ◎ ◎
Webサイトの閲覧 ○ ○ ◎
メール利用 ◎ ◎ ◎
Web動画/ビデオチャット ○ ○ ◎
オフィス文書編集 ○ ○ ◎
画面の大きさ ○ ○ ◎
キーボードの打ちやすさ ○ ○ ◎
持ち運びやすさ ◎ ○ ○
バッテリー駆動時間 ◎ △ ◎
価格 5万円台 5万円前後 10~30万円
比較してみると、Eee PC 901とAcerのAspire oneのような低価格ミニノートPCは、同じようで全く異なるジャンルのPCである事がわかる。Eee PCはSSDや長時間バッテリーでモバイルに向いているが、SSDの保存容量が12GBと少ないなど、Webとメールだけならともかく、1台目のPCとして様々な用途で利用するにはやや厳しい。
一方、低価格ミニノートPCはバッテリー駆動時間が3時間程度と短く、コンセントに指したままの利用が前提となるが、120GBの大容量HDDを搭載しており様々なアプリケーションやデータを扱える余地がある。とはいえ、最近では9万円以下でデュアルコアCPUと14インチ液晶、 DVD/CDドライブを搭載した低価格ノートPCが増えているだけに、やや魅力に乏しさが感じられる。
では、既存のモバイルノートPCというと、1kg台前半の重量に、Webサイトの閲覧からHD動画の再生・編集までこなせる性能の高いデュアルコアプロセッサ、DVD/CDドライブ、8時間前後の駆動に対応したバッテリーなど、メインPCとしても十分すぎる性能を持っている。12インチクラスの液晶は見やすく、キーボードも打ちやすい。最近では、HDDの代わりにSSDを選択できるモデルも増えてきた。とはいえ、高性能ゆえに価格は20万円前後とやや高価。メインPCとしても利用できる性能は素晴らしいが、コンパクトさや長時間駆動など、モバイル向けサブノートPCとしての用途に限れば、Eee PC 901でも代替可能ではある。
まとめると、Eee PCは既にPCを持っているユーザーが、モバイル向けのサブノートPCを試しに持ってみるという目的や、PCで本当にWebとメールぐらいしか利用しないと割り切れるユーザーには最適だ。一方で、PCの入門機として1台目に購入するノートPCとしては向いていない。持ち歩ける1台目PCを求めるなら、DVD/CDドライブ内蔵のモバイルノートPC、低価格な1台目PCなら10万円を切るぐらいのデスクトップPCやノートPCを購入した方が良いだろう。
●Eee PC 901はモバイル向けサブノートに最適
Eee PC 901-X 低価格ミニノートPC モバイルノートPC
入門用に初めて買うPC △ △ ◎※
モバイル用途のサブPC ◎ △ ◎
低価格重視で購入するPC △ ○ ×
Webとメールの専用機 ◎ ◎ ◎
※特にDVD/CDドライブ内蔵モデル
携帯型情報機器の将来を期待させるPC
Eee PC 901を触っていて新鮮なのは、自宅の無線LANやイー・モバイルに接続したまま、携帯電話やニンテンドーDSのようなゲーム機と同じように、居間や寝室で自由な姿勢で利用したり、そのまま外へと気軽に持ち出せる点だ。軽量かつ小型なうえ、長時間駆動とSSDを採用したからこそ体験できる使い方といえる。そんな瞬間に、Eee PC利用者はこれまでのモバイルノートPCとも異なる、省電力かつ高性能な小型Web端末としての将来性を感じられるのではないだろうか。
今後、Eee PC 901にも搭載されているintelの省電力プロセッサAtomは、スマートフォンや携帯電話への搭載を見据えて、さらなる省電力化を進めてゆく。その先に見えるのは小型のノートPCだけでなく、タッチパネル型のWeb端末、電子ブックリーダー、より高機能なスマートフォン、ニンテンドーDSやPSP、iPhoneのような家電的に扱えるコンテンツプレーヤーだろう。
省電力化したAtomを搭載した小型Web端末が増えるという事は、従来のintel製プロセッサーで動作するWindowsやLinuxといったOSやアプリケーションなど膨大なソフトウェア資産を流用できることを意味する。現時点で小型Web端末に最適化したユーザーインターフェースのOSは少ないものの、intelを中心とするLinuxを小型Web端末向けに適応させるプロジェクト「Moblin」の技術を採用した、UbuntuなどをベースとするLinux ディストリビューションも徐々に登場し始めた。Googleの「android」のように、最初から小型Web端末向けに最適化されたOSの登場も期待できる。マルチタッチパネルなどの新入力デバイスの登場や、モバイルWiMAXやLTEといった次世代通信の開始も含め、これから数年間はEee PCを皮切りとした小型Web端末の分野が面白くなりそうだ。もちろん、日本メーカーによる小型Web端末の登場にも期待したい。
後編ではEee PC 901購入後に苦慮しがちな、少ない容量のSSDをやりくりしながら環境構築を行う方法やEee PC 901をより快適に利用できる周辺機器について紹介する。ちょっとした工夫で使い勝手は大きく変わるので、参考になれば幸いだ。
著 者
島 徹(しま とおる)
携帯電話の使いづらさにへきえきし、ケータイ情報サイト「sureare.com」を運営したり、2ch携帯・PHS板に張り付いていたところ、某コンテンツプロバイダー社長に捕まり神保町界隈へ放り込まれる。現在、日経エンタテインメント!、週刊アスキーの連載など、ケータイ・モバイル関連のライターとして活動中。
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