5万円以下も登場でミニノートブーム拡大、国内大手はいつ動く?
7月に続いて、8月も、“低価格ミニノート”の動きが活発だった。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20080905/1018391/
BCNが発表した、2008年8月の10型以下のディスプレイを搭載したミニノートの構成比は、ノートPC市場全体の20.3%。8月最終週となる8月25日から31日の集計では、25.4%に達し、なんと4台に1台がミニノートという結果になった。
8月23日に、日本エイサーが5万4800円と低価格の「Aspire one」を発売して人気を集め、ミニノート市場が拡大した格好だ。
量販店では、これまでPCを所有していなかった新規需要層の開拓に躍起。メールやネット接続を携帯電話で済ませていたモバイルユーザーの取り込みやモバイル用のサブマシンとしての売り込みにも力を入れる。
ミニノートの多くは店頭販売価格が5万円前後で低価格ミニノートと呼ばれる。その名の通り、これまでのノートPCと比べて安価で購入しやすく、OSにはWindows XPを搭載するモデルが多い。8月に販売されたノートPC全体の21.5%はWindows XPを搭載。7月の19.1%と比べてもXPの存在感が増している。
ミニノートの低価格化に拍車をかけているのがイー・モバイルの存在だ。
イー・モバイルのデータ通信機器を2年間使用する契約でセット購入すると、特定通信料金プランが適用され、ノートPC本体の購入価格が約4万5000円から3万円値引きされる。5万4800円のAspire oneは、9980円で購入できる計算だ。アスーステック・コンピューター(以下、ASUS)の「Eee PC」の初期モデルであれば、なんと100円で購入できる。
アスーステック・コンピューターの「Eee PC 4G-X」は、イー・モバイルと2年契約してセット購入すると100円で入手できる(画像クリックで拡大)
現在、低価格ミニノート市場をリードしているのは、この分野の草分け的存在となっているEee PCをはじめ、日本エイサーのAspire one、日本ヒューレット・パッカードの「HP 2133 Mini-Note PC」。いずれも、外資系メーカーの製品だ。
HP 2133 Mini-Note PCは、品薄状態が続いている。同社直販サイトでは6月、7月の発売日に、半日で完売。8月も深夜0時の発売後、午後3時には売り切れた。同社では、「9月以降は、月1万台程度にまで出荷台数を引き上げる」としており、安定供給によって、どこまでシェアを高めるかが注目される。
デルは先週、国内でも「Inspiron Mini 9」の販売を始めた。10月には、レノボ・ジャパンもミニノートの投入を予定している。外資系メーカーによる戦いが熾烈化しそうだ。
一方、国内PCメーカーは、こうした“ミニノートブーム”に乗り遅れた格好だ。健闘しているのが工人舎。10型以下のディスプレイを搭載したノートPC市場で、8月には10.0%と2桁のシェアを獲得し、3位に入った。
国内大手PCメーカーは静観しているようにも見えるが、波に乗る準備は着々と進んでいる。富士通は8月末、欧州市場向けとして、8.9型ワイド液晶ディスプレイを搭載した「AMILO mini Ui 3520」を発表。台湾、韓国市場向けにも販売する計画を明らかにした。
日本市場への投入は、「来年以降になる」(富士通)とするものの、「国内PC各社の動向を見て、投入時期を判断する」(同)とのこと。準備は整いつつあるようだ。
富士通が欧州向けに販売する「AMILO mini Ui 3520」(富士通シーメンス)。8.9型ワイド液晶を搭載するミニノートだ。価格は400ユーロ前後(画像クリックで拡大)
NECでも、「小型軽量のノートPCの発売を、検討している」とコメント。ソニーも、「2009年度には、安価な小型ノートPCの投入は避けては通れない」と、参入の姿勢を見せる。
国内PCメーカー各社は、低価格ミニノートが一過性のブームなのか、それとも今後の主流の一角を担うのか。慎重に判断した上で、投入する考えのようだが、国内ユーザーの期待が高まっているのは事実。投入時期を逸しない判断が求められる。
著者
大河原克行(おおかわら かつゆき)
1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、約20年にわたって、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、パソコン誌、Web媒体などで活躍。nikkeiBPnetの「ビジネス・フォアフロント」の連載を担当。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下電器 変革への挑戦」(宝島社)、「パソコンウォーズ最前線」(オーム社)などがある。
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