ユビキタスへの道―最終回
2008年7月30日 08:00
井芹 昌信(All-in-One INTERNET magazine 2.0発行人)
http://i.impressrd.jp/e/2008/07/30/931
[ネットビジネスでおさえておきたいトピックを紹介]
ネットの風を読む
この1週間に、「All-in-One INTERNET magazine 2.0」の各セグメントメディアで取り上げた記事やテーマ、インターネット業界で起こった出来事やニュースの中から、注目トピックをピックアップ。
この1年、ネットの技術的・ビジネス的な変化について書いてきたが、改めて眺めてみると、その方向は「ユビキタス」に向かっているように感じる。「ユビキタス」という言葉が登場した当初は何か胡散臭い感じがしたものだが、ここ数年の技術の進展や製品やサービスの浸透で、この言葉に現実感が与えられてきたようだ。
パソコンからモバイルへ
ユビキタスを構成する要素にはいくつかあるが、最も重要な点はいつでもどこでも利用できること、つまり無線ネットワークアクセスだろう。ケータイはその代表選手だったが、最近では、アップル社のiPhone、ウィルコム社のD4やイー・モバイル社のイーモンスターなど、かつてはPDAと分類されてきたようなパソコンとケータイの間くらいの製品の進化が著しい。加えて、UMPCと呼ばれる超小型のノートPCにも人気が集まっている。これらのモバイル製品の進化は、これからが本番だろう。
無線技術のロードマップ
ユビキタスを支える無線ネットワーク技術のロードマップを見ると、その進化がまだまだこれからだとわかる。たとえば現在のケータイは、3Gから3.5G(3.6Mbps程度)への変化の最中だが、これが2015年までにはWiMAXやLTE(Long Term Evolution)などの技術で100Mbps級の超高速通信が可能になるとされている。100Mといえば、家庭の光通信と同程度であり、映像を含むあらゆるサービスがケータイでもできることを意味している。また、デジタル無線技術は放送と通信の融合を加速させ、いよいよネット経由でテレビ放送が見られたり、オンデマンドサービスが本格化することになるだろう。
クラウドコンピューティングへの流れ
一方で、インターネットは回線接続という役割から、世界中を覆う巨大なデータベースの役割を演じそうである。最近の言葉で言えば、「クラウドコンピューティング」だ。
サーバーコンピューター、ストレージ、アプリケーションソフトウェア、各種データベースがインターネット上に集約され、いつでもどこからでもアクセス可能になっていくことだろう。最近発売されたiPhoneで利用できる「iTunes Store」や「App Store」は、この一端を表していると思う。
上記した流れは明らかにユビキタスを志向している。モバイル機器でネットに接続でき、クラウドにアクセスできるということは、いつでもどこからでもインターネット上に構築された世界規模のデータベースを利用できることを意味している。この姿は、デジタル技術が登場してからのコンピュータ科学者やエンジニアの1つの理想郷でもあったことだろう。
ただ反面、昨今のスパムメールやネット犯罪のようなダークサイドの恐怖も増殖している。できることが増えれば、それに比例してネガティブな問題も多くなる。デジタル技術が我々人類に突きつけてくる大きな命題である。アナログとデジタル、リアルとバーチャル、人間とコンピュータ、そして理想と現実をどのようにバランスしていくのか、大きなチャレンジとなりそうだ。
「ネットの風を読む」は今回で終了します。ご愛読、ご支援ありがとうございました。次回からは、弊社の各メディアの編集長やアナリストによるリレー連載が始まります。それぞれの立場や感性で書いてもらう予定なので、楽しみにしてください。
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