【「古い巨艦に穴を開ける」】
「インパクトは予想以上だったね」
http://www.zakzak.co.jp/people/20080327.html
昨年、高速データ通信サービスで携帯電話事業に参入したイー・モバイルが、今月28日の音声通話サービス開始に先駆けて放映したテレビCM--音声基本料は0円、月980円払えば自社間通話が24時間無料という料金制に喜ぶニホンザルに、白い犬が「ありえないっす」と吠えるアレだ。
「白い犬」といえば、ソフトバンクモバイル。料金プランも同社を意識したように見えるが、このCM放映前、孫正義社長には仁義を切っていたという。
「『孫ちゃんのところが憎いわけじゃなくて、胸を借りてやらせてもらうからね』と言うと『あまり激しいのはやらないでくださいよ』と言われたけど」
孫氏とはADSLや携帯電話の新規参入で戦う一方、次世代無線の周波数獲得競争では共闘。必ずしも“犬猿の仲”というわけではなさそうだ。
「お互いにないものを持っている。孫さんはマーケティングがうまいから、赤字を出してもシェアを取ってから考える。うちは投資とのバランスを取る。(ゴルフでいうと)あの人はOBを出してでも前に進むけど、僕らはラフのギリギリで自制する。ただ、アプローチは違っても果敢に攻める点は似てるね」
【「つねに難題を乗り越えることを楽しむ」】
ついでに聞きにくいことも聞いてみた。
第二電電(現KDDI)をともに設立した京セラ創業者の稲盛和夫氏のことだ。第二電電では副社長までつとめたものの、その後稲盛氏とはたもとを分かち、イー・アクセスを設立。稲盛氏は現在、KDDI(au)の最高顧問でウィルコムの取締役最高顧問。イー・モバイルとは直接ぶつかる立場だ。
「まあ、ライバルですよ。何十年か前に経営手法を教えてもらったり、一緒に作った会社を助けてもらったり、それがなかったら今の僕はなかったという点では深く感謝しています。だけどビジネスの世界では、教えてもらった人だから一切その範囲から出ちゃいけないという考えは古いと思うね。より新しい技術やサービスに挑戦することで日本の消費者に還元するのが正しいやり方だと思う」
その新サービスが、ケータイでADSL並みの高速データ通信を安価に実現した「世界初のビジネスモデル」であるイー・モバイル。パソコンのインターネット接続がダイヤルアップからブロードバンドに変わったように、ケータイでも劇的な進化を起こすと宣言する。
【「2年後には劇的に変わるでしょう」】
「外出先でデータを高速ダウンロードしたりビデオを見たり、パソコン不要で大半のことができるようになる。サラリーマンの生活やビジネスも大きく変わりますよ」
話の端々に世界、海外、グローバルという言葉が何度も出てくる。その言葉の前後に出るのは、日本の携帯電話市場の現状に対する不満だ。
「付録のような機能で差別化するばかりで、海外から見ると日本の市場は全然魅力がない。まるで日本の男みたいだ。だから撤退するメーカーが出てくるんだよ」
自宅では、寝室やトイレなどあちこちにメモ帳を置いておき、アイデアがひらめくと書き留めるという。この意欲の秘密は何か。
「つねに難題を乗り越えることを楽しんでいる。世界の標準から外れたものへの闘志を持ち続けることが僕を若くしているんでしょうね。会社は小さくても、燃える戦闘集団で古い巨艦に穴を開けようとしています」
有言実行。今年1月の純増数では大手3社の一角を切り崩して話題となった。
「象徴的でしょ? でも、ほんの初めなわけ。28日から始める音声サービスで、攻める手は単発銃から機関銃になる。日本のケータイの世界はおそらく2年後ぐらいには変わると思いますよ」
“戦う男”は写真撮影でも笑顔を作ろうとせず、次の仕事に足早に去っていった。
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