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Windows Mobile搭載機として一歩抜きん出た存在――「EM・ONE」

今回のイー・モバイル「EM・ONE」レビューは、PDAとしてのEM・ONEを徹底チェック。

http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0704/10/news115.html

搭載するWebブラウザやメールソフトの使い勝手、アドレス帳を含むPIM機能など、PDAとしての完成度や、日本語入力環境を検証する。

 前回の「EM・ONE」レビューでは、気になる通信速度のチェックや、端末のサイズやインタフェースの検証を行った。モバイル端末でありながら、ブロードバンドといって差し支えない実力を発揮したEM・ONE。今回は、PIM機能などPDAとしての完成度や、Webブラウザ、メールソフトの使い勝手、日本語入力環境を見ていく。

* →「EM・ONE」レビュー 第1回:“モバイルブロードバンド”は本当か?――「EM・ONE」の実力をチェック

独自のブラウズ機能「ネットウォーカー」

 EM・ONEは、ワイドVGA(800×480ピクセル表示)対応の4.1インチディスプレイを搭載する。この大画面の恩恵をもっとも受けるのが、Webブラウジング機能だ。

 EM・ONEは、Webブラウザ(もちろんフルブラウザ)として、Windows Mobile標準の「Internet Explorer Mobile」(以下、IE)と、Opera製の「Opera Mobile」(以下、Opera)の2つを内蔵する。これは「W-ZERO3[es]」と同じ構成だが、IEがQVGAの拡大表示ではなく、800×480ピクセルのドットバイドット表示に対応している点が大きく異なる。

 ブラウザの機能で比べると、Operaは複数サイトをタブで切り替えながら表示でき、かつFlashをサポートするなど、より高機能だが、OSの標準機能であるIEは起動が速く、PC内のIEと「お気に入り」を同期できるメリットがある。

photophotophoto IEを縦表示した場合の高解像度表示(左)と、QVGA画面を拡大する従来表示(中央)の違い。情報量はほぼ4倍で、高解像度表示なら縦表示でも快適にPC向けサイトへアクセスできる

高解像度表示はオン/オフが可能。モバイル向けとして240×320ピクセル表示に最適化したWebサイトもあるため、その互換性を確保するためだろう(右)

photophoto こちらは横画面。QVGA表示を拡大しても、800×480ピクセル表示ディスプレイのメリットはほとんどないが、高解像度表示ならPCでのWebブラウズにぐっと近づく

photophotophoto こちらはOperaでの縦/横画面表示(左と中央)。初期設定のフォントサイズでは、情報量と視認性のバランスが取れている。

複数サイトを同時に開き、タブで切り替えることも可能。Google マップの地図スクロールも、実用的な速度で行えた(右)

 EM・ONEが持つ独自のWebブラウズ機能が「ネットウォーカー」だ。あらかじめ登録しておいたWebサイトを、スクロールホイール操作で切り替えながら閲覧できるもの。毎日アクセスするニュースサイトなどを次々とチェックする場合に便利に使えそうだ。なお、対応するWebブラウザはOpera のみ。

photo ネットウォーカーの画面。登録したWebサイトをスクロールホイールで選択し、決定するとアクセスする。さらにスクロールホイールを回すと、違うWebサイトにアクセスする

充実した振り分け機能が魅力の「SHメール」


充実した振り分け機能が魅力の「SHメール」

 WebブラウザとともにEM・ONEの大きな魅力となるのが、PCメールの送受信だろう。EM・ONEにはWindows Mobile標準の「メール」(Outlook互換)のほか、シャープ独自のメールソフト「SHメール」を搭載する。メールの使用感は、サーバ上のメールを見るビューワのような感覚だが、SHメールはPCのメールソフトのように使うことができる。

photophoto “SHメール”を横表示させたときのメール一覧画面とメール本文表示。見た目はPC用メールソフトに近い

photophoto 縦表示のメール一覧画面とメール本文表示。実用性はこちらのほうが高そうだ。一覧表示もそうだが、画面レイアウトやフォントはワイドVGA画面には最適化しておらず、QVGA表示を拡大しているようだ

 SHメールは、LinuxザウルスやW-ZERO3[es]に搭載されたシャープ製メールソフトに近い。複数アカウントとフォルダ、そして自動振り分けをサポートし、フォルダツリーとメールの一覧を1画面に表示する。PC向けのメーラーを基準にすると特筆すべき機能はないが、メール送信時の認証は「POP before SMTP」に加えてポート番号も変更可能で、「Outbound Port 25 Blocking」(OP25B)にも対応する。携帯電話のメール機能と比較すると振り分けが柔軟に行える点が特徴と言えるだろう。

 現時点では、イー・モバイルがメールアカウントの提供を行っておらずメールを自動受信するような機能はない。しかし、定期的にメールを受信するスケジュール機能は備えている。定額の通信料金を生かして短い間隔で受信するように設定すれば、プッシュメールに近い感覚でメールを利用できるだろう

photophoto アカウントごとに送受信ポート番号も変更可能。受信時のAPOP、送信時の認証もサポートする。モバイル利用では事実上、送信時の認証は必須になっており、重要な機能だ。受信時にはメールの先頭部分だけを受信することも可能だが、高速・定額でネット接続が可能なEM・ONEには、さほど必要な機能ではないかもしれない

photophoto メールは定期的に受信することも可能。受信間隔は分単位で指定する。どのアカウントで定期受信するかも設定可能だ。手動での一括受信もアカウントを指定する機能を用意する

photophoto 自動振り分けはかなり高機能だ。ヘッダの「X-ML-Name」抽出もでき、メーリングリストの振り分けも確実に行える。キーワードも部分マッチングで振り分けられ、ドメインごとに効率よく振り分けられるだろう

 このSHメールの難点を挙げるとすれば、やはりワイドVGAディスプレイを生かしきれていない点と、IMAP4をサポートしないことだろうか。 IMAP4については、Outlook互換のメールがサポートしており、EM・ONE自体では利用できる。しかし、“POP3/SMTPの個人用アカウントは使い勝手の良いSHメール”、“会社のメールアカウントはIMAPだからメール”という使い分けが発生するとなると、ちょっと面倒かもしれない。

不完全なワイドVGA対応が残念なPIM機能

不完全なワイドVGA対応が残念なPIM機能

photo 初期設定でのホーム画面。フォントサイズなどは情報量よりも視認性を重視しているようだ

 アドレス帳やスケジュールといったPIM機能に関しても目を向けておこう。とはいえ、用意する機能はWindows Mobileのそれであり、標準でPC上のOutlookと同期できる。これらは、これまでのWindows Mobile端末と違いはない。

 同期に利用する「ActiveSync」をPCにインストールしておけば、PCから端末内部のフラッシュメモリにもアクセスでき、ファイルのちょっとした持ち歩きにも利用できる。スケジュールやアドレス帳の同期は行わないという人も、端末とPCの連携のためにActiveSyncはインストールしておきたい。

 “Today画面”を含め、PIM機能は残念ながらワイドVGAディスプレイにネイティブで対応していない。システムフォントはワイドVGAに適したサイズに変更できるが、メニューバーやアイコンサイズなどはそのままで、高解像度を生かしたレイアウトではない。スケジュールについても、月単位と週単位では予定がある/ないが分かるだけで、表示を切り替えないと場所や時間を確認できず、せっかくの大画面がもったいない状態だ。

 POOM(Pocket Outlook Object Model)を利用し、標準のPIM機能とデータ共有できるシェアウェア「さいすけ2006」が、ワイドVGAディスプレイ表示に対応しているようだが、同程度の機能は標準で装備してほしかったな、という気がする。

photophoto 左がEM・ONE、右がVGAディスプレイのW-ZERO3[es]。どちらもフォントサイズは最小にした状態。フォントはワイドVGAやVGAに適した大きさだが、アイコンサイズやレイアウトの関係から情報量が増えた印象はない

photophotophoto スケジュール(予定表)の月/週/日別一覧画面。日別表示にしないと、予定の内容が把握できない。これはWindows Mobileの仕様であり、イー・モバイルやシャープが手を入れられない部分だが、ワイドVGAディスプレイを活用するためにも追加ソフトの登場が望まれる

W-ZERO3の流れをくむQWERTYキーボード+ATOKの予測変換

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[坪山博貴,ITmedia]

Copyright© 2007 ITmedia, Inc. All Rights Rese

不完全なワイドVGA対応が残念なPIM機能

photo 初期設定でのホーム画面。フォントサイズなどは情報量よりも視認性を重視しているようだ

 アドレス帳やスケジュールといったPIM機能に関しても目を向けておこう。とはいえ、用意する機能はWindows Mobileのそれであり、標準でPC上のOutlookと同期できる。これらは、これまでのWindows Mobile端末と違いはない。

 同期に利用する「ActiveSync」をPCにインストールしておけば、PCから端末内部のフラッシュメモリにもアクセスでき、ファイルのちょっとした持ち歩きにも利用できる。スケジュールやアドレス帳の同期は行わないという人も、端末とPCの連携のためにActiveSyncはインストールしておきたい。

 “Today画面”を含め、PIM機能は残念ながらワイドVGAディスプレイにネイティブで対応していない。システムフォントはワイドVGAに適したサイズに変更できるが、メニューバーやアイコンサイズなどはそのままで、高解像度を生かしたレイアウトではない。スケジュールについても、月単位と週単位では予定がある/ないが分かるだけで、表示を切り替えないと場所や時間を確認できず、せっかくの大画面がもったいない状態だ。

 POOM(Pocket Outlook Object Model)を利用し、標準のPIM機能とデータ共有できるシェアウェア「さいすけ2006」が、ワイドVGAディスプレイ表示に対応しているようだが、同程度の機能は標準で装備してほしかったな、という気がする。

photophoto 左がEM・ONE、右がVGAディスプレイのW-ZERO3[es]。どちらもフォントサイズは最小にした状態。フォントはワイドVGAやVGAに適した大きさだが、アイコンサイズやレイアウトの関係から情報量が増えた印象はない

photophotophoto スケジュール(予定表)の月/週/日別一覧画面。日別表示にしないと、予定の内容が把握できない。これはWindows Mobileの仕様であり、イー・モバイルやシャープが手を入れられない部分だが、ワイドVGAディスプレイを活用するためにも追加ソフトの登場が望まれる

W-ZERO3の流れをくむQWERTYキーボード+ATOKの予測変換

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[坪山博貴,ITmedia]

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W-ZERO3の流れをくむQWERTYキーボード+ATOKの予測変換

 続いてEM・ONEの文字入力環境を見ていこう。スライド式のQWERTYキーボードは、両手で抱えて親指でタイピングするタイプ。両手の親指でつにはキーピッチは十分で、慣れれば、PC並とはいわないものの、携帯電話のダイヤルキーよりはずっと快適に入力できる。

 ほかのキーと一緒に押すことの多い[Shift][CTRL」[Fn」キーは、指を離した後も入力状態が続く仕様で、指一本でもキーの同時押し操作が行える。これはW-ZERO3シリーズと同じだが、キーボード左側に配置されたキーと併用する場合に便利だ。

 レイアウトで気になるのは、キーが四角四面に置かれていること。PC用のキーボードは上下のキーが若干ずれて配置されているが、EM・ONEのレイアウトはこれと比べると違和感がある。キータッチは好みによるが、同カテゴリの製品であるW-ZERO3シリーズやソフトバンクモバイルの「X01HT」などの方が良好に感じられる。長文を入力していると、キーを押す親指の側面がちょっと痛くなるうえ、[SPACE]キーは両端が接点で、キーの中心を押しても反応しないなどの難点があった。

 これ以外にも[ESC]キーが[Fn]キー併用となっている点も気になる。利用頻度が少ないキーを併用とするのはW-ZERO3シリーズも共通だが、やや大きなキーボードになったのであれば、独立させてほしかったと思う。

photophoto W-ZERO3/W-ZERO3[es]とのキーボードの比較。キーサイズやピッチはW-ZERO3に近い。W-ZERO3[es]よりは縦のキーピッチがあって打ちやすいが、レイアウトやキータッチなどでW-ZERO3に分があると感じる

photo こちらはX01HTとの比較。文字入力のしやすさはEM・ONEが勝るが、キータッチはX01HTのほうが良好だ。キータッチはスリムさとのトレードオフになってしまったのかもしれない

 またスクロールホイールは、項目選択やスクロール時の操作性は非常によいが、[決定]キーを備えていないのが残念。ホイールを回して選択し押し込んで実行する「ジョグダイヤル」のような操作ができれば、より便利になるだろう。

 日本語変換は、予測変換がATOK、通常変換はMS-IMEを利用するハイブリッドタイプ。これもW-ZERO3シリーズと同じだ。日本語入力モードのまま「CTRL]+[P]/[O]キーを押すことで、英文字変換もできる。ATOKらしく予測候補は豊富に準備されており、読み予測だけでなく次文節予測もサポートする。

 難点は候補選択が上/下キーのみという点だ。好みによるが、予測変換候補の選択は十字キーを上下/左右に動かして行いたい。ただこれは、日本語変換システムそのものをATOKに変更しないと難しいだろう。

photo 予測変換候補の表示。候補数もかなり豊富だ。ただこれだけの候補を複数段に表示するなら、上/下キーだけでなく十字キーで候補を選択したいと思ってしまう

質感も良好、機能も魅力。今後の改善に期待したい部分も

 イー・モバイルの千本会長が関連各社を直々に説得行脚(4月2日の記事参照)しただけのことはあり、EM・ONEはスリムで質感の高い、カッコイイ端末に仕上がっている。

 もっとも“PDA”としてみると不満を感じる点がないわけではない。例えば縦向きでメールソフトを利用すると、波打つようなスクロール表示になる。動画再生能力も高いとはいえず、グラフィックスアクセラレータにGoForce 5500を採用するが、そのパワーはワンセグなど一部の機能でしか有効に使われていない。例えば、PC用にエンコードしたVGAサイズのWMVやDivX ファイルはスムーズに再生できなかった。

 動画再生に関してはアクセラレータに対応するソフトの登場を待てばよいが、メールソフトのスクロールがぎこちないのは、OSのレンダリングエンジンをアップデートする必要がある。

 EM・ONEはWindows Mobile搭載機として一歩抜きん出た存在で、単体で購入すれば9万5000円という高価な製品だ。より低額になる1年契約や2年契約で購入するユーザーも多いとはいえ、頻繁に買い換えられる製品ではない。不満点の改善を次期製品に期待するのではなく、端末のアップデートでよりよい端末に進化していくことに期待したい。

 イー・モバイルのサービスエリアはまだまだ限定的で、エリア拡大が今後の課題になるだろう。しかし、数年前には夢物語だったモバイルブロードバンド接続を現実的な定額料金で実現し、サービス開始と同時にそれを活用できるEM・ONEを投入したことに、惜しみない賛辞を呈したい。

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関連リンク

* イー・モバイルオンラインストア

* 製品情報(イー・モバイル)

* 製品情報(シャープ)

* イー・モバイル

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