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「モバイルビジネス研究会」第5回会合:MVNOの定款化を迫るイー・モバイル千本氏、ドコモは反発

「モバイルビジネス研究会」の第5回会合には、3月31日に携帯電話事業を開始したばかりのイー・モバイルから千本倖生会長が登場。MVNOを活性化するための具体策を提案した。

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 SIMロックや販売奨励金の是非、MVNOの展開など、今後のモバイルビジネスのあり方を議論する総務省主催の「モバイルビジネス研究会」が4月6日に開催された。第5回の会合にはイー・モバイルとマイクロソフト、ぐるなび、三井物産、ACCESSの5社の代表がオブザーバとして参加し、モバイルビジネスについての意見を述べた。

 オブザーバによるプレゼンテーションが今回で終了することもあり、MVNOについては、より活発な議論が交わされた。

* →オープン化を望むMVNO、キャリアは慎重な姿勢

* →「端末ベンダーは海外で挑戦する気があるのか」──慎重論に業を煮やす構成員

* →功を訴えるキャリア、罪を問う構成員──SIMロックの是非をめぐる認識のずれ

イー・モバイル、千本会長が自ら意見

photo イー・モバイル代表取締役会長 兼 CEO 千本倖生氏

 最初に登場したイー・モバイルの千本倖生会長は、MVNOを促進させるには、3つの条件が必要だと述べた。1つ目は通話料金などの卸売料金を約款化すべきという点だ。「我々の試算では現状、ドコモが3分45円であるならば、卸売価格は3分15円程度が妥当だと考えている。通話料金は秒単位の課金、データ通信は定額制が望ましい」とした。

 さらにコンテンツと端末はオープン化すべきとし、「昨年10月に番号ポータビリティが導入されたが、それだけでは不十分。さらにコンテンツも移行できるMCP(Mobile Content Portability)や、メールアドレスを継続して利用できるMMP(Mobile Mail Portability)も導入すべき。端末はWindows Mobileといった国際的な仕様を採用することで、開発費を下げるのが望ましい」という考えを示した。

 マイクロソフト・最高技術責任者補佐の楠正憲氏は、販売奨励金やSIMロック解除について、「即座に廃止した場合は業界全体に与える影響が大きい」と慎重な姿勢。当面は割賦販売や販売奨励金を含まない料金プランを並行して提供することで、段階的に販売奨励金を縮小させることを提案した。中長期的な改革として、第4世代など次世代方式の展開時期を目途に、SIMロック規制を導入するのが望ましいと説明した。

 端末メーカーの国際競争力低下については「(米Apple Computerの)iPhoneには東芝のHDD、日本製のタッチパネルが搭載される可能性だってある。何をもって『国際競争力』というのかが曖昧。個別企業の自助努力に委ねるべきである」と訴えた。

 コンテンツプロバイダの立場として意見を述べたのが、ぐるなびの福島常浩取締役。「各事業者で端末の仕様が違うために、コンテンツの検証作業には億単位のコストがかかっている。コンテンツ開発側としては、PCと同等の標準環境が実現されることが望ましい」と、コンテンツプロバイダの現状を訴えた。

 しかしその一方で、「SIMロック解除は、現行のシステムからの移行による検証作業が膨大になる。参入障壁を高くする可能性がある」と、早急なSIMロック解除は好ましくないと言う見解を示した。

 三井物産の土肥茂氏は、端末の流通事業としての立場から意見を述べた。「三井物産では、日本に近いインセンティブモデルを導入しているオーストラリアで流通事業を手がけている。オーストラリアでは、通信事業者と一体となって、販売だけでなく、在庫の管理や商品ライフの管理も行っている」と海外の販売事例を紹介した。

 ACCESSの楢崎浩一執行役員からは、ソフトウェア開発の現状が明かされた。ACCESSでは、端末メーカーの負担を低減するために、端末に必要とされる機能や仕組みを取り入れた、ALP(ACCESS Linux Platform)というソフトウェア開発プラットフォームを提供している。ほかにも、すでに国内外でリソースを共有化している同社の動向を説明した上で、「端末メーカーなどは厳しい環境に置かれているため、モバイルビジネスを継続させて行くにはリソースの共有、プレーヤー同士の可能な限りの協調が必要になってくる。協調することで競争力が生まれてくる」という見方を示し、ACCESSとしてはこうした動きに貢献したいと述べた。

MVNO事業活性化には「定款化」が必要不可欠

     

MVNO事業活性化には「定款化」が必要不可欠

 プレゼンテーションに続いて行われた自由討議では、端末のコストと、MVNOの活性化について議論が集中した。

 研究会の構成員が各キャリアに投げかけたのが「キャリアやメーカーは、(端末の)開発コストがかかって値段が下げられないという、言い訳をしている。今後、プラットフォームやリソースの共通化は、どのようにしていくつもりなのか」という質問だ。

 それに対してNTTドコモは「端末の開発だけではく、テストにもコストがかかっている。リソースの共通化は緊急の課題と認識しており、ドコモでは日本だけでなくモトローラやボーダフォンとも提携し、LiMo Foundationを立ち上げるなどの施策で共通化を進めている」と説明した。

 KDDIは「ソフトウェア開発コストは全体に増大にしている。しかし、KDDIではワンセグなどの高機能化が進む一方で、KCP(KDDI Common Platform)によって端末ベンダーとソフトを共有化したことで、2年間で納入価格は10%も下げることができた」と、同社の共通化への取り組みとその有効性をアピールした。

 MVNOに関しては、イー・モバイルの千本会長のプレゼンテーションのなかで、「定款化」という意見があったことで、定款化の必要性や3分15円という卸売価格は妥当なのかという質問が構成員から挙がった。

 千本会長は、「新規参入事業者は、常に支配的業者にいる市場に入っていかなければならない。戦艦大和のようなドコモがいるところに、漁船のイー・モバイルが入っていくのは、とても大変なこと。ADSLやFTTHの時もそうだった。定款化し、環境を整備してもらわないと、小さいところが小さいままで終わってしまう。3分15円という根拠は、大きいMNOに対抗できる現実的な設定。MNOが赤字を出してまでもやってもらう必要はない」と、イー・モバイルが2008年に予定しているNTTドコモとのローミング(4月3日の記事参照)を踏まえたと見られる考えを述べた。

 構成員からの「MVNOを定款化するのは、ドミナント(支配的)企業だけか、それとも3社一斉に導入すべきか」という質問に千本会長は「まずはドミナントだけ」と、ドコモに導入を迫った。ドコモは「シェアを減らし続けており、50%を超えているからといってドミナント企業と言われるのは心外。シェアだけでなく、収入、利益も落としている。MVNOに関しては十分に可能性のあるビジネスモデルだが、定款化や導入を義務化されるのには反対したい」と抵抗感をあらわにした。

 千本会長はさらに「ADSLの接続料は800円から180円、さらに120円になった。MVNOでもまずはドコモの卸売り料金を提示してもらい、その妥当性をオープンな場で議論していったらいい」と、定款化については一歩も譲らなかった。

モバイルビジネス研究会、各キャリアの感想は

 この5回目をもって、オブザーバが出席する会合が最後となるため、3キャリアが、販売奨励金やSIMロック、MVNOに関する総括を述べた。

 ドコモは「この会合に参加して、いろんな意見があることを実感させられた。ただ、どの案をとっても、すべての人が満足するものはないだろう。インセンティブの不公平感は認識しており、是正するよう前向きに検討中だ。この業界の競争はいまの3社、4社だけではなく、インターネットを巻き込んだ市場になりつつあり、従来の固定通信市場とは違うと認識している。ぜひ我々も今後も成長を続けたい」とした。

 KDDIは「販売奨励金は、課題もあるが、急成長を支えた原動力になったのは間違いない。一定の役割の評価はすべきだが、不公平感の指摘は確かに正しい。SIMロックを単独で議論するのは意味がなく、販売奨励金とセットで考えるべきだ。見直しの時点に来ているのは理解しているので、工夫しながら協議を進めていきたい。MVNOは、垂直統合だけでは限界がある。成功事例を作れるように推進していく」という考えを述べた。

 ソフトバンクモバイルは「SIMロックの解除については前向きに検討したい。目的は利用者の選択肢を広めることにあるが、特定の事業者だけが導入しても何もメリットもない。SIMロックはすべての事業者が同時にやることによって、公平性が出てくると思う。インセンティブについては、弊社は割賦販売があるので、それによって解決できている。MVNOは付加価値のあるサービスが出てくると思うし、すでに複数の会社と協議しているしている」として、新スーパーボーナスなど、すでに他社よりも先駆けて導入していることをアピールした。

 最後に座長である斉藤忠夫東京大学名誉教授は、「世界で仕様が決まっても、昔は国内にはNTTとKDDしかなく、両社が勝手に仕様を決めたので、日本国内で仕様を統一する場がなかった。しかし、世界のWiMAXの動向を見ると、各国に仕様を決めるフォーラムがあり、きっちりと機能している。現状、こうした組織が日本にはない。日本仕様を統一する組織をつくるといったことをやらなくてはならない」と日本規格の環境を整備すべきという考えが示された。

 4月26日に開催される次回のモバイルビジネス研究会は、構成員だけの会合となる。

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関連リンク

* モバイルビジネス研究会

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[石川温,ITmedia]

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