【ニュース追跡】東京横断50キロ、イー・モバイルぶらり旅
イー・モバイルの携帯サービス「EMモバイルブロードバンド」を契約した。
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMITfh000010042007&cp=2
PHSや従来の携帯電話の通信速度が物足りなくなった、あるいは今まで使ってきたウィルコムの「DD」を踏んづけて壊したなど、直接的な理由はいくつかある。が、本当の理由はたった1つ。記者は新しいモノが大好きなのだ。
新キャリアの参入は13年ぶり、しかも定額で高速通信とくれば、もはや逸る気持ちをおさえることができない。ということで今回は、イー・モバイルの通信状況を中心にリポートしてみたい。東京横断約50キロメートル、イー・モバイルはどこからどこまで通じるのだろうか。
●カードサイズはそれなりに大きい、セッティングは簡単
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カードスロットに装着したところ。脇のはみ出し部分はそれなりに大きく、アンテナの固定部分の強度に若干の不安を感じることがある
購入したのは、携帯端末の「EM・ONE」ではなくてPCカードタイプのデータカード「D01NE」。EM・ONEにも惹かれたが、そもそもパソコンに取り付けるデータカードが必要だったこともあり、D01NEにした。もちろん懐具合も影響してはいるのだが。
さっそく私物のソニー「VAIO Type G」にデータカードを差してバッグに入れようとしたら、カードの出っ張りが大きく、それなりに余裕があるはずのインナーケースに収まらない。アンテナにも注意が必要だ。初期のPHSデータカードと同じプラスティックの柔らかいタイプであり、バッグに無理矢理入れると、ポロッと取れてしまってもおかしくはない印象を受けた。
常時接続を意識するのであれば、通信カードは入れっぱなしが原則である。この辺は早急に改善してほしい。
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接続ユーティリティーの画面。この画面の「接続」ボタンを押せば、リンクが開始される。面倒な作業は一切必要ない
パソコンへのインストール作業と、ネットへの接続作業は非常に簡単。添付されているドライバーCD-ROMから、ドライバーとユーティリティーをインストールし、D01NEをパソコンに差し込むだけで、ハードウェアのセッティングは終了だ。
ネットへの接続については、接続ツール上で「接続」ボタンをワンクリックするだけ。エアエッジや携帯電話での接続では、対応プロバイダーとの契約や、接続時にIDやパスワードを入力する必要がある。しかしイー・モバイルのD01NEでは、そういった作業は一切必要ない。実に簡単にネット接続を開始できる。
●ユーザーの多い秋葉原以外では、路上通信はきわめて良好
VAIO Type Gのバッテリーも満タンにしたので、さっそく通信チェックに出かけることにした。実験内容は、光ケーブルを引き込んだ自宅に構築しているftpサーバーから、イー・モバイル経由でファイルをダウンロードし、その際の実効速度を計測するというもの。自宅に設置しているルーターにはQoS管理機能(どのパソコンの、どんなデータのやりとりを優先してデータ通信を行うかを決める機能)があるので、念のため、ftpサーバーの通信を最優先に設定した。
ちなみに中野区にある自宅の低層マンション(4F)の室内でまず試したところ、毎秒2~2.2メガビットで通信可能。大通りからは10メートルほど離れているが、窓が小道に面していることもあって、通信状況は快適だった。
路上での通信実験は、大手町(会社の周辺)、上野、秋葉原、飯田橋、新宿で行った。大手町、飯田橋、新宿に関しては、どこでもほとんど同じといった印象。通信速度は毎秒1.2~2.0メガビット程度で、ウェブブラウズにはまったく支障がない。
面白かったのが秋葉原だ。いや、なにも「記者にとっての聖地だから」選んだわけではない。ほかの地域に比べ、使っているユーザーが多いだろう、と踏んでチョイスしたのだ。
ともあれ、通信状況は予想通りだ。ほかの地域では、毎秒1メガビットを下回ることはなかったが、秋葉原では大通りも含めどこに行っても毎秒0.6~0.8メガビット程度。ウェブブラウズにも(ほかの場所に比べ)若干のストレスを感じることがあった。
これは、ユーザーが多くなると実際に使用感が低下するということの証左でもある。イー・モバイルは同様の懸念を他キャリアから指摘されているが、これをどう解決するのだろうか。
●地下街はNG、しかし外さえ見えれば店舗内の通信状況は良好
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秋葉原駅1Fの改札内広場。地上がまったく見えない状況だと、通信はできなかった
建物の中で、どの程度通信できるかについても実験してみた。地下街や地下鉄等では、まったく通信できなかった。アンテナや通信設備の設置が、地上を中心に行われているせいだろう。
ただしちょっとでも地上方向に開けている部分があるなら、それなりに電波は入ってくる。秋葉原駅1Fの改札内ホールでは、まったく電波が入ってこなかったのに対し、新宿駅2F南口の奥では、毎秒0.8メガビット程度での接続が可能だった。新宿駅南口は、改札口付近に甲州街道に通じる大きな出口が設置されている。ここから電波が入ってきているのだろう。
次に行ったのは、店舗での通信実験。デパートやカフェテリアでは、少なくとも窓際なら路上と同じように通信することが可能。また、窓際に寄らなくとも特に電波が弱まる印象はなかった。10メートルほど奥に入った席でも、窓が見えるような位置であれば通信速度にはほとんど影響がない。窓際で毎秒1.8メガビット程度だったのが、10メートルほど奥の席に移動すると、毎秒1.5メガビット程度に低下するくらいだ。
●山手線ではパーフェクトに接続が継続
最後におこなったのが、電車に乗りながらの「ハンドオーバー」テストと、通信可能地域を確認するテスト。最近の携帯電話は、複数の基地局に接続して通信を行う。だから、電車やクルマに乗っているときでも、通信状況のよい基地局を次々に切り替えながら通信や通話を継続できる。これがハンドオーバーという仕組みだ。
今回のテストでは、山手線を一周しながらどの程度の通信速度を維持できるかでハンドオーバーの状況をチェックするとともに、総武線を使って東京を横断し、どこからどこまでが通信可能エリアなのかを確認してみた。
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国分寺から西船橋までは通信OK。山手線一周テストでは、通信がとぎれることはなかった
山手線一周テストでは、毎秒1.5~1.8メガビット程度の通信速度を維持し、通信はまったくとぎれることがなかった。問題の秋葉原駅付近では毎秒1メガビット以下に落ち込んだものの、数分後には回復。問題なくハンドオーバーが行われていることが確認できた。
次に総武線で千葉県方面に向かった。イー・モバイルが現状のサービス圏内としている市川まで、毎秒1.8メガビット程度の通信速度はほとんど変わらない。それどころか本八幡、下総中山、西船橋と毎秒0.4メガビット程度ながらリンクは続いた。最終的にリンクがとぎれたのが、4駅先の船橋駅。
逆に国立市方面に向かったところ、やはり現状のサービス圏内としている三鷹市を超え、武蔵境、東小金井、武蔵小金井、国分寺とリンクは継続。国立市と国分寺の中間で、リンクはついにとぎれた。通信速度の低下傾向は、千葉方面に向かったときと同じだ。公式なサービス圏内を離れるとともに、毎秒0.4メガビット程度に落ち込み、最終的にリンクがとぎれる。
●サービス圏の問題はあるが、モバイルの使い方が一変するかも
今回のテストで、地下、あるいは完全に囲いに被われた場所でない限り、かなり良好な通信ができることがわかった。通信速度も、ほとんどの場所で最低でも毎秒1.2メガビット程度は確保しており、PHSや従来の携帯電話を使った通信とは、まったく比べものにならない使用感を実現している。
営業で都内を中心に頻繁に移動し、常にモバイルパソコンを持ち歩くといったビジネスパーソンには、仕事の効率アップにつながる通信手段になるだろう。何か調べたいと思ったときに、パソコンをぱっと広げてすぐに調べ物をしたり、グーグルマップで地図情報を確認したりもできる。モバイルの使い方自体が一変する可能性すらある。
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イー・モバイルが公表している07年3月末現在の通信圏内
とはいえ、まだまだサービス圏が狭すぎる。「ヘビーなモバイラー」とは、「パソコンを持ち歩くのが趣味な人」ではない。さまざまな場所から通信する人のことをこう呼ぶのだ。初期段階で飛びつき、魅力的なサービスであることを実感した彼らの欲望は、「では次はどこで使えるようになる?」とさらに拡大する。終わりのない彼らの欲望を、イー・モバイルは満たし続けることができるのか。
ヘビーではないにせよ、多少はモバイラーとしての自負がある記者としては、「イー・モバイルの今後」を見守っていきたいと思う。もちろん契約も継続しよう(1年契約の違約金を払うのも惜しいし)。
[2007年4月10日/IT PLUS]
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