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どうなるケータイ料金(1)値下げ競争勃発の予兆

昨年10月に導入された携帯電話の番号ポータビリティー制度。「事業者間の競争促進」が導入の目的でもあったが、肝心の「料金競争」はこれまでのところ起きていない。しかし、ここにきて「料金値下げ競争」の扉を開くような条件がにわかに整い始め、今年の携帯業界の大きなテーマに浮上してきた。(石川温のケータイ業界事情)

http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMIT0f000022032007

 番号ポータビリティー制度導入以降、ソフトバンクモバイルが「ゴールドプラン」や「ホワイトプラン」で格安戦略に打って出たものの、NTTドコモ、KDDI(au)はいまだに対抗策を打ち出していない。まるで、ソフトバンクモバイルの動向を無視しているかのようだ。

■好調な新規契約は「2台目需要」?

 ソフトバンクモバイルは今、月間の純増シェアでauに次いで2位につけている。ボーダフォン時代に比べて、端末ラインアップやサービス面の向上で顧客満足度が上がっているようだが、なんといってもユーザー獲得の最大の原動力は「月額980円」のホワイトプランだ。低廉な月額基本料金、午前1時から午後9時までのソフトバンクモバイル間の通話料無料といったこれまでにない料金プランに加え、ソフトバンク流の「営業体制」によって、数多くのユーザーを呼び込んでいる。



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ソフトバンク好調の原動力となっているホワイトプラン=1月5日の発表会見

 しかし、NTTドコモやKDDIを見ていると、ソフトバンクモバイルの好調ぶりに対して、慌てている素振りはない。ホワイトプランに対抗するような値下げをしてくるかと思いきや、いまだに静観の構えを崩していないのだ。

 確かに、番号ポータビリティーだけでのユーザー動向を見ていると、auが大量に他社から獲得しているのに対し、ソフトバンクからはいまだユーザー流出が続いている。ソフトバンクモバイルの増加はそのほとんどが新規契約であり、ウィルコムのように「2台目需要」としてかなりの数が売れていると、現状を分析しているのかも知れない。



 ただ、ここにきて、NTTドコモやauも大きく料金プランを改定する可能性が出てきた。SIMロックや販売奨励金の廃止などを検討する総務省の「モバイルビジネス研究会」から、ひとつの方針が示されたからだ。

■イー・モバイルが始める端末割引制

 これまで日本では、契約期間に応じて通信料金を変えるという課金制度は、「郵政省の時代から、まかりならないといわれていた」(KDDIの小野寺正社長)という。また、端末価格をキャリア側がコントロールするというのは、公正取引委員会からおとがめを受けかねない行為でもある。

 そのため携帯電話会社は、「通信料金も端末価格も完全にコントロールできない。『端末価格は高いけど通話料金が安い』という状況を作りたくても、誰もコントロールできない」(KDDI小野寺社長)と訴えてきた。

 しかし今回、モバイルビジネス研究会から、ユーザーを契約期間で拘束したうえでキャリア側が自由に端末料金や通信料金を設定してもいいという主旨の指針が示された。これにより、キャリア側がユーザーを契約期間で拘束したうえで、安価な料金プランを提示する、ということが可能になる。



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契約期間により価格が違うイー・モバイルの「EM・ONE」=2月19日

 3月31日からサービスを開始するイー・モバイルはすでに、端末購入時にあらかじめ1年、もしくは2年と契約期間を拘束することで、端末価格が変わるような仕組みを導入した(モバイルブロード端末である「EM・ONE」の初期費用は9万5000円となっているが、1年契約を前提とすると7万1000円、2年契約をすると3万9800円となる)。

 モバイルビジネス研究会の指針を受けて、KDDIの小野寺社長の発言にも変化が見られた。3月の定例会見では、「キャリアがユーザーの契約期間を拘束し、通信料金を定めることが可能との見解が示されたと認識した。今後、通信料金や携帯電話端末の利用期間のパッケージ化など、ユーザーに納得してもらえるビジネスモデルを検討したい」と述べた。

 モバイルビジネス研究会の方針により、KDDIが料金改定に動くのは時間の問題だろう。それにより、NTTドコモも追随するのは間違いない。



 さらにソフトバンクモバイルの孫正義社長は、2006年10月23日の記者会見で「NTTドコモ、auに対して、24時間に対抗値下げを発表する」と宣言している。

 KDDIの小野寺社長は、具体的なプランの内容や導入時期に関しては、「いまは話せる段階にはない」として明言を避けた。だが今年は、各社の料金値下げ競争が勃発する可能性が充分にある。

■番号ポータビリティーと相反する仕組み

 ただし、気をつけなくてはならないのは、ユーザーは料金値下げという恩恵を受けられる代わりに「契約期間を拘束」されるマイナス点があるということだ。料金値下げの対象になるには、「この先、2年間は解約しません」といった約束が必要になるのだ。

 新たな料金体系が導入されることでユーザーの選択肢が増えるのは、歓迎すべきことだ。しかし、2年間も解約できなくなるといったデメリットは、しっかりと理解したうえで契約した方がいいだろう。

 かつて、総務省は「キャリア間の競争を促進することで料金値下げを喚起させる」という名目で、番号ポータビリティー制度の導入を積極的に進めてきた。しかし、今回の期間拘束導入は、いつでも解約できて番号を持ち運べるという番号ポータビリティー制度のメリットとは、相反する仕組みといえる。

 ユーザーにとって、キャリアに契約期間を拘束されてしまったら、番号ポータビリティーなど意味のない存在になってしまわないか。

 期間拘束をされることによって、ユーザーの利益が奪われてしまってはならない。「期間拘束を導入したことで、一番得をしたのはキャリア」ということにならないよう、さらなる慎重な検討が必要になってきそうだ。








[2007年3月22日

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